イタリア豆知識

ミラノのカーニバル
2021.03.30

2月のヴェネチアのカーニバルは有名ですが、実はイタリアではクリスマス、お正月、カーニバル、そして復活祭と冬は全国的にお祭りラッシュなのです。
もちろん敬虔なカトリックの国、それぞれ深い意味のある宗教的行事なのですが、私はヨーロッパの長い冬をお祭り騒ぎで乗り切ろうという、陽気なラテン民族の知恵ではないかとも考えます。

 2月のミラノのカーニバルの主役は子供たち。月の始めともなると、街中が思い思いに変装した子供達であふれかえります。シンデレラになった女の子、ピカチューに変身した男の子、101匹ワンちゃんの着ぐるみを着た子….どの子もどこかしら自慢気な母親に手を引かれ、行く先々で絶賛を浴びて何とも幸せそう。学校や幼稚園にだって変装して登校します。

 しかし、うかれているのは子供ばかりではありません。2月の最終日曜日はカーニバルのクライマックス。この日は大人も皆思い思いに変装して昼夜を問わずミラノの街を練り歩きます。
ちなみにイタリア語で変装とはtravestito/a(トラベスティート/トラべスティータ)といいます。一般的にはニューハーフの人をさして言うことが多いようですが。

かくゆう私も、同僚に誘われ変装カーニバルに参加したことがあります。
「私今年はミツバチになるの、フフフ。レイコ、くれぐれもちゃんと変装してよ、普通の格好じゃ恥をかくんだからね!」と念を押す彼女に、(アホかこいつは?)と心で毒を吐きつつも、何のアイデアも浮かばないまま当日を迎えてしまった。結局手持ちの猫の耳付カチューシャを付け、鼻を真っ黒に塗って髭を書き、ジブリの「ジジ」のエプロンを掛けただけの即席猫で凌ぐことに...。
これまた簡易ミッキーマウスに変身した日本人の友人と「こんな格好で地下鉄に乗るのォ~?かっちょ悪~い!」と恐る恐る夜の街へ出てみれば、そこは道ゆく人皆が変装している世にも不思議な世界。犬に変装したイタリア人の女子から「あっ、私もあれぐらい濃い髭にすればよかった~。あのほうが絶対カワイイ~!」と羨望の眼差しを向けられたら、羞恥心など吹っ飛び、すっかり気をよくしてしまった私なのでした。

...のも束の間、待ち合わせの場所に着くと、例の同僚は黄色と黒の横縞のオムツみたいなパンツに大きな羽根(すべて彼女の手作り)で完璧なミツバチだし、おまけに彼氏は海賊姿。準備不足を理由に前日まで参加を迷っていた子も、ちゃっかり彼氏とペアで非の打ち所の無いシェフ姿で、右手にフライパンまで持ってたがな!
充分な準備期間があったにも関わらず、こんな即席な変装しかできなかった自分が無性に恥ずかしくなりました。(何でやねん!)

気を取り直して歩き始めると、ミラノ市民の半端じゃなく気合いの入った変装に笑いが止まりませんでした。しつこいようですが、全員が一般人。
スカイブルーの象さんの着ぐるみ姿の微笑ましい老夫婦も見たし、巨大ムカデに変装した数人のグループもいました。 最も多かったのが、女装した彼氏と男装した彼女のカップル。女装した彼氏と腕を組んで街を練り歩くって、みなさんどうですか?

強烈だったのが、トイレの便器に変装した男性。全身白タイツで首から上が便器なのです。道行く人の「蓋は開かないの?」の問いかけに、蓋をパカっと開けて中からご本人が「モチロン!」。(神に誓って実話です。)

そうやって、ただただ一晩中歩き続け、人の変装を見ては笑い、自分の変装を自慢する。  スノップで冷たいと言われるミラネーゼがこれなのだから、ローマやナポリに行くといったいどうなることやら...想像するに恐ろしい。

「日本のラテン民族」といわれる大阪人の私が、この人達を見ていかに悔しかったかお解かり頂けるでしょうか?「来年は横綱の着ぐるみか、背中に天丼のぬいぐるみを背負ってリベンジだ!」と心に誓ったのですが、残念ながらあれ以来お誘いがありません。しかし、いつか必ずこの誓いを実現させ、大阪人の熱い血を奴らに見せつけてやる! 待ってろ、イタ公ども!!