イタリア豆知識

クリぼっちのクリスマス
2021.03.30

皆さま、今年も素敵なクリスマスを過ごされたでしょうか?
昨今、クリスマスを一人で過ごす人を「クリぼっち」とよぶそうですが、さすれば、私は「ベテランクリぼっち」(苦笑)。 ちなみに今年のイブは自宅で「まるちゃん正麺」をすすっておりました。改めて我が人生を振り返るに、「クリぼっち」もさることながら、偶然か必然か、クリスマスにインスタントラーメンを食べている確率が実に高い。

まぁ、そんな自虐はさておき、私が “ときめきの30代” を捧げたイタリアは、言わずと知れたカソリックのお国、
やはりクリスマス(Natale)は1年で最大のビックイベント、12月に入ると街はクリスマスイルミネーションに輝き、
クリスマスプレゼントを買い求める人々で賑わいます。
ただ、そんな賑わいもイブの午前中まで。24日(Vigilia di Natale)の午後はお店もレストランも早々にシャッターを降ろし、26日のサント・ステファノ(Santo Stefano 祝日) まで、人っ子ひとりいなくなり閑散としてしまいます。
私が暮らしていた頃は、25日は地下鉄やバスなど公共交通機関も全て止まっていました。

イタリアには「Natale con i tuoi, Pascqua con chi vuoi - クリスマスは両親と、イースターは好きな人と」という諺があります。イブの夜からクリスマスにかけて(南部では25日の夜まで延々続くこともあるとか)、ジジババ、親、
兄弟、親戚一同、ありとあらゆる家族が集まって、自宅で大食事会(cenone)を開き、お互いにプレゼントを交換しあいます。 私のかつての上司の日本人に言わせると「くっだらないプレゼント」なのですが、元々「家族命!」の
イタリア人達、誰もがその「くっだらないプレゼント」のことで頭がいっぱいになるようです。 とにかく、老いも若きも
男も女も、その一大イベントを心から楽しみにしているのですから。
1度、異国の地でひとり家族と離れて暮らす私を不憫に思った同僚が、彼女の家のクリスマスディナーに誘ってくれました。彼女の優しさに感激しつつも、知らないイタリア人達の果てしないお喋りと、気が遠くなる量のお料理、
そして終りの見えない宴を想像するだけで胃がもたれてきたので、丁重にお断りしました。

そんな訳で、家族もましてや彼氏さえも居ない異邦人にとって、イタリアのクリスマスはなかなか厳しいものであります。ほぼ毎年、cenoneが待ってる同僚と休日を交代してあげては重宝がられ、仕事から戻ってひとり家でインスタントラーメンをすすることになる・・・「クリぼっち」必至です。
ある年のイブの夜、喧嘩が原因で妻が実家に帰ってしまった日本人の友人とレストランに行ったことがありましたが(開いてる店もあったんですね~)、友人の愚痴が止まらない私たちのテーブルの隣では、ゲイのカップルが痴話喧嘩をしとるという、なんとも切ない話クリスマスディナーでございました。あちらでは家族とクリスマスを過ごさない人は、何らかのワケありっちゅ~ことですかね。

ちなみに、年越しはといいますと、大晦日(San Silvestro)はやはり夕食会(cenone)がありますが、クリスマスほど盛大ではありません。レストランで仲間や恋人と過ごす人も多く、カウントダウンで大騒ぎした後、元旦(capodanno)を静かに過ごして、2日からは日常の生活に戻ります。
余談ですが、cotechinoといういわゆる豚足とレンズ豆(lenticchie)を年の終わりに食べると、次の年お金に困らないと言い伝えがあるらしく、夜中の12時前にに食べるようです。しかし、夜中に豚足って...。

我々はあっさり年越しそばをいただいて、よいお年を!