イタリア豆知識

クリぼっちのクリスマス
2021.05.02

皆さま、今年も素敵なクリスマスを過ごされたでしょうか?
昨今、クリスマスを一人で過ごす人を「クリぼっち」とよぶそうですが、さすれば、私は「ベテランクリぼっち」(苦笑)。 ちなみに今年のイブは自宅で「まるちゃん正麺」をすすっておりました。改めて我が人生を振り返るに、「クリぼっち」もさることながら、偶然か必然か、クリスマスにインスタントラーメンを食べている確率が実に高い。

まぁ、そんな自虐はさておき、私が “ときめきの30代” を捧げたイタリアは、言わずと知れたカソリックのお国、やはりクリスマス(Natale)は1年で最大のビックイベント、12月に入ると街はクリスマスイルミネーションに輝き、クリスマスプレゼントを買い求める人々で賑わいます。
ただ、そんな賑わいもイブの午前中まで。24日(Vigilia di Natale)の午後はお店もレストランも早々にシャッターを降ろし、26日のサント・ステファノ(Santo Stefano 祝日) まで、人っ子ひとりいなくなり閑散としてしまいます。私が暮らしていた頃は、25日は地下鉄やバスなど公共交通機関も全て止まっていました。

イタリアには「Natale con i tuoi, Pascqua con chi vuoi - クリスマスは両親と、イースターは好きな人と」という諺があります。イブの夜からクリスマスにかけて(南部では25日の夜まで延々続くこともあるとか)、ジジババ、親、兄弟、親戚一同、ありとあらゆる家族が集まって、自宅で大食事会(cenone)を開き、お互いにプレゼントを交換しあいます。 私のかつての上司の日本人に言わせると「くっだらないプレゼント」なのですが、元々「家族命!」のイタリア人達、誰もがその「くっだらないプレゼント」のことで頭がいっぱいになるようです。 とにかく、老いも若きも男も女も、その一大イベントを心から楽しみにしているのですから。
いちど、異国の地でひとり家族と離れて暮らす私を不憫に思った同僚が、彼女の家のクリスマスディナーに誘ってくれました。彼女の優しさに感激しつつも、知らないイタリア人達の果てしないお喋りと、気が遠くなる量のお料理、そして終りの見えない宴を想像するだけで胃がもたれてきたので、丁重にお断りしました。

そんな訳で、家族もましてや彼氏さえも居ない異邦人にとって、イタリアのクリスマスはなかなか厳しいものであります。ほぼ毎年cenoneが待ってる同僚と休日を交代してあげては重宝がられ、仕事から戻ってひとり家でインスタントラーメンをすすることになる・・・「クリぼっち」必至です。

ちなみに、年越しはといいますと、大晦日(San Silvestro)はやはり夕食(cenone)がありますが、クリスマスほど盛大ではありません。レストランで仲間や恋人と過ごす人も多く、カウントダウンで大騒ぎした後元旦(capodanno)を静かに過ごして、2日からは日常の生活に戻ります。
余談ですが、cotechinoといういわゆる豚足とレンズ豆(lenticchie)を年の終わりに食べると、次の年お金に困らないと言い伝えがあるらしく、夜中の12時前にに食べるようです。しかし、夜中に豚足って...。

我々はあっさり年越しそばをいただいて、よいお年を!

<2015年>